自分の物差し

あるところに、仲良しの 魚 と 亀 がいました。随分親しい友達で毎日、水の中で一緒に遊んでいました。けれ

どもある日、亀 がいなくなってしまいました。それから随分長いこと 魚 は 亀 を探しましたが、どこにも見

当たりません。あるとき、再び 亀 が姿を現したので、魚 は聞きました。「君、どこに行っていたの ?」
 

「陸の上に行っていたんだ」「えっ陸って何 ?」 魚 は理解できません。お互い友達ですから、亀 は一生懸

命、 魚 に陸のことを説明し、魚 もなんとか理解しようとしました。けれどもまったく話がかみ合いません。

魚 は陸の話を水の中の 常識 で理解しようとしていたからです。「陸はとてもいいところだよ。 こことは比較

にならないほど大きいんだ」「水はきれいなの ?」「いや水はまったくない」。 魚 はびっくりします。
 

「水がないのにきれいで、いいところなどあるわけがない。 お前の言うことはおかしい」波どころか水もな

い。あれもない、これもない。泳げもしない。相当危険なところではないか。あるいはまったく 存在しない と

ころではないかと、魚 は結論せざるを得ませんが、亀 はあくまで 「陸はある」 「いいところだ」 と言い張

ります。それぞれが、見てきた世界、体験した世界、育った環境 から 自分の物差し で測って 物事を判断 し

ています。人間も同じです。この物語の主人公は魚 と 亀 ですが、「つばめ」 と 「にわとり」 だと、また

面白い物語 が出来そうです。自分たちの周りには、いっぱい理解できない人がいますが、これも 当然 のこと

ですね。この物語のように 相手 から見たら、自分が 魚 かもしれませんね。多分そうでしょうね。

来るものは拒ます゛、去る者は追わず、人を見て 法 を説け、我、必ずしも 聖 に非ず 彼、必ずしも 愚 に非

ず 共に是れ 凡夫 なりこれらの意味深い教えを 「人間関係」 で何か事あるごとに思い出しています。



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