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 偽善の偽である。“いつわり”だ。人の為というこの漢字を作った人も、その使用を認めた人も、世の中の「人
  のためと言いながら、自分の利益ばかり考えているニセモノ」をずいぶん見聞き、そして体験したんだろうなあ
  と思う。私にはそんな洞察力がないので、この造語能力に、ただただ感心するばかりである。
  誰かのために一生懸命やっている人の、深層心理なんかをほじくり返すことより、そのまま認めていくほうがず
  っと人間らしいと思う。
  「人のためにする」という無味乾燥な言葉に“思い”を味付けして「人のためにせずにはいられない、したくな
  ってしまう」とすればどうだろう。「人のため」でOKではないか。「人の為って書いていつわりって読むんだ
  よ」などと吹聴し、人の心に傷を追わせてそのまま逃げるような人には言ってみたいものだ。人のためでもいい
  から、やれるものならやってごらんなさい。  
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