親の目・レンズの目

運動会で、ビデオカメラでわが子を撮る親がいるけどね。」

「ええ、私も場所取りできないで、家内に怒られた……。」

「自分の子供が競争している時に、わが子のゴールの瞬間を必死に撮影してるんだよ。」「そりゃそうですよ」

「でもね、思い出してごらんよ。自分がかけっこでゴールした時、まっ先に見るのは親の顔なんだ。」 私は小

学校の運動会の自分を思い出した。確かに「よくがんばったね」という親の顔が、そこにはあった。「ところが

今は、一生懸命走ってゴールした時に、親の顔を見ようとしたら、そこにあるのは無機質なレンズなんだ。子供

の心が少しだけど、大きくなるのは、その時に親と目を合わせる、アイコンタクトができるからだと思うんだ

よ。」本当にそうだと思った。レンズに「よくがんばったね」という表情はない。自分の子供の時だけは他の人

にカメラを頼めばいいんだよ。一人でも多くの方が、モニターやレンズ越しでない、自分の目で子供達の精一杯

を見てあげてくれればと思う。



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