我が道を生きむと思えど長男に 生まれし我が思ひ迷へり
子が常に時代おくれといふ言葉 まづしき中にわれはきき居り
いかほどの幸めぐり来むひとすじに 今日もけわしき我が道をゆく
さながらにかわらのごとき世に生きて なほゆかむとす一つの道を
目をつむりてなに思ひゐる父の前 無力なわれの慰め得ずに
銭湯の帰り煙草を買ひて しわはせひそかに身になぐみくる
惰性なるわが生きざまを誹謗せし 妻に感謝す禁酒して一月
地位も名も何になるらむ信じ得る 君にそむかれ空虚なる身は
背信の徒となりさがるとも悔いあらず ひそかに抱く望みあれば
窓の陽のさす所に移動して 生活苦の悩みろんずる
心細きほどにしづまる夜を寝ねて 友の明るき笑ひをねたむ
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