霊感商法の口説き

自分にとっての不都合の原因が思いつかない時、新聞折り込みの霊感商法のチラシ。

「霊の障りは実在するのです。手遅れにならないうち早めの因縁鑑定を。鑑定料一件3,000円の安心料金」

鑑定所のドアを叩くと、待合室で家族構成、生年月日、菩提寺の有無など、後で脅かすための材料を記入させ

られます。ほかにも待っている人(サクラの場合もあります)がいることもあります。「お宅もなにか悩み事

ですか」「ええ、じつは……」。部屋へ通されると「色々お困りでしょうね」と優しい言葉。続いて「まあ、

とにかくお座りください。まずあなたの周囲の霊をみてみますから」と瞑想するフリ。で目をあけて「こうい

うことでいらっしゃったのですね」。ズバリ的中!当たり前です。待合室に隠しマイクがあったのですから。

でも、当人はビックリします。どうしてわかるのだろう。この人はスゴイ霊媒師なのかもしれないと思う所で

「わかりました。あなたの不幸の原因は先祖の霊によるものです。「でも、両親の供養はちゃんとお寺でやっ

てもらっています」――こういう場合には「3代以上前に行方不明になってそのまま亡くなった方がいます」

「そんなの聞いてませんが」「行方不明になったので世間体が悪いから子孫に伝えられていないのでしょう」

相手はプロの詐欺師です、どんな場合にも手を変え、品を変えて、因縁を武器に脅してきます。「どうすれば

いいですか」「まずご供養しましょう。供養料は一霊につき5万円です。「一霊につき?」「ええ、あなたの場

合、今の不幸は父方の行方不明の霊ですが、母方にもそういう方がいて、心やさしいあなたに気づいてもらっ

て供養してもらおうとしています。だから二霊ですね」さすがに合計10万のお金は持ち歩きませんから、次回

予約。2度目に10万円を持ってでかけて、供養してもらってやれやれと思うと「まだ私が感じることのできない

霊がいるといけないので、お位牌を作って供養したほうがいいですよ。今後こういう不幸がおきないようにす

るためにも、オススメです。お位牌は魂入れの供養料を含めて一体10万円です。父方、母方の両方を作ったほ

うが安心できますね」――このように、一つお金解決すると、次の脅しの道具を用意しています。くれぐれも

だまされないようにご注意ください。



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