山を登って知ること

山を登る時、あせってどんどん登る人がいます。初めのうちは、人よりも一歩も二歩も先に立ち、元気いっぱ

い得意げに登っていますが、やがて疲れが際立って、休む回数が多くなり、後から倦まずたゆまず登ってきた

人が追い越して行ったりすることがあります。

山登りの達人というのは、肩の力を抜き登ろうとする気負いを捨てて、今、踏みしめて登る一歩を、ただただ

無心に一歩一歩足を運んでいくのだそうです。

人生もまた、脇目もふらず、真剣、ガムシャラに突き進むことが必ずしも良いとはいえない場合があるようで

す。もちろん、怠けたりいいかげんが良いというのではありません。しかし「がんばる」とか「マジメさ」と

かいうのも度が過ぎると、そのために周りの景色やその他色々なものが目に入らなくなり、また、心に届かな

くなるようです。自分が人より勝れていたり、先んじたりする特別の人だという気負いを捨て、たとえどんな

に能力があり、勝れている面があるとしても、まず何よりもごくフツウの人でなければならない。

当たり前に生まれてやがて死んでいく、できるだけのことを一歩一歩着実に生きていきたいものです。

                      木八郎



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