暑き日は子供の鳴らす鈴の音が 身にもひびきて涼しき湧きぬ
ひそけさをつぶやく如く ほうちょうの 木瓜をきざむ音にめざめぬ
悪夢去りまぶしき光に子供らの せわしく動く影に気付きぬ
とらへられかごにうごめくごまとんぼ そのやるせなき小さきつぶら眼
葉の茂る大きいポプラの木の下の黒土を 朝しみじみと踏むも
校庭のスピーカーの声こだまして 秋訪れぬ高台の上
子供らの指にし待ちぬ八月も ききょうの花と過ぎ去りし今
世の光受くる短きその一生(ひとよ) 虫ひたなくはあはれなりけり
風もなき海なだらかな鮫が浦 船が群れなし北に向いて
にわか雨晴れたるあとの空き地にて 子供ら喜々と水溜り集ふ
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