茜さす 甲田の峰は清くして 蔦のいでゆは 今くれんとす
たのしかる 想い出ひとつ なきわれど 湖畔歩むは わづかなる幸
山の香の こもらふ風を 頬にうけ たどたどとわが 乗れるバス行く
夜ふけし 蔦の温泉に 夜露落ち 雨ふりし時の しづくににせて
偉大なる 甲田の峰の そのままに 道求めるは おろかなることか
いつの日か 甲田の峰を 征せんと ちかいし友は 故人なりき
さながらに かわらのごとき 世に生きて なほゆかむとす 一つの道を
晩春に 遭難せし 高校生の 墓標さみしく 甲田の峰にたつ
いかほどの 幸めぐり 求むひとすじに 今日も けわしき 我が道をゆく
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