亡き君を 語り歩めば 海風の 吹きあぐる 丘の墓地 見えて来ぬ
亡き君の 語りし言葉 今もなお 心にしみて うずき現る
貧しかる 家内(ヤウチ)と知るか 縁談を むかい目にして 客は帰りぬ
評 世間の噂さやらを聞き仲人 がやつてきて見たもののその 綺麗な嫁さんに比較して両親 や家庭があまりにも貧しかった。 明かるいべき縁談であるのに 客は話をひかい目にして帰った その淋しさを詠んでみた。
色黒き 旅の研師が 手をとめて 語る 訛りの ききとりがたき
不生女(ウマズメ)の 霊前は淋しかり 花輪 供へし 子の一人無くし
評 子供のない人でも葬式に花輪 盛籠等沢山の供物があがる人 もあるが一般に肉親の無い弔いは 淋しい感じがする。 それも不生女(ウマズメ)という 不貝?な女性の一生であってみれば よけいに憐憫なものが強く現れる。
|