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夜に煌々と輝く街の灯りが眩しい。
その喧騒から離れても尚、ノンフィクションなこの世界から逃れることは出来ないのか。
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僕にはフィクションを生み出す才能がなかった。
真っ白なキャンバス・・・
そこへ一筋のペンを走らせ、未だかつて誰も見たことがない世界が広がってゆく・・・
筈だった。
筈だったんだ!
筈だったのに・・・
そこには何もない。
見上げればただ黒く塗り潰された空だけが広がっている。
・・・
何度ペンを走らせただろう・・・
何度世界を創造しただろう・・・
何度・・・
否定されたフィクションを塗り替えてきただろうか。
何も生み出すことが出来ない僕の右手は、いつしか真っ白だったキャンバスを黒く塗り潰していた。
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夢から醒めた現実を眺めて・・・
希望が潰えた絶望を抱えて・・・
そんな漆黒の闇の中、ノンフィクションの灯りだけが煌々と輝いている。
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